出生前診断の結果で中絶を選ぶことへの是非

現在の医療技術の向上によって、胎児の出生前診断の進歩にともない、胎児の異常の診断ができることが多くなりました。そしてこの診断は人工中絶を選択できる時期に行われ、異常を発見することができるようになっています。

けれどもこのことが妊婦やその家族に大きな苦悩を与える結果になっているという事実もあります。出生前診断の結果、胎児に異常があることが分かった場合、せっかく授かった命をどのように扱うかについては、むやみに中絶することを選ぶこともできず、論理的な考え方に対する深刻な対立が起こっています。

こうした先天性の異常が見つかった場合、産婦人科医はどのようにすべきかという回答を求められることが多くなり、事務的ではない、論理的な、そして哲学的な思考を持つことが求められているのです。

日本ではダウン仕様の発生率が過去20年の間にやや増加する傾向にあると言われています。先天異常の原因というのは、染色体と遺伝子関係が約3割ほどを占め、母体側の要因や感染症や薬剤などの影響などがあると言われていますが、いまだに3割から7割はその確かな原因は不明なままです。

先天性異常の外因としては母体が風疹やエイズなどのウイルス感染の影響を受ける場合や、放射線被ばく、抗生物質や抗悪性腫瘍剤、サリドマイド、ビタミンA誘導体などの要因があげられます。

外因の影響を受けやすいの時期というのは、胎児の主な器官が形成される妊娠5週から10週で、各臓器別に影響を受けやすい時期としては、脳波妊娠4週から13週くらいまで、目や心臓などは5週から9週くらい、聴力は9週から19週くらいとなっています。

そして母体の年齢の影響がダウン症の発生率に関係するかというデータでは、高齢初産の妊婦になるほどダウン症が発生しやすいことは知られていますが、全出産児の中での発生の頻度でみても、やはり母の年齢が増加するに伴って発生する頻度が増加していることが判明しています。