発達障害の現状と社会的認知

人の誕生とは、一つの受精卵から無数の細胞へと分化し、胎児となる気の遠くなる営みです。通常は、母親の栄養摂取によって細胞の生成順は一定で、健康的な過程をたどります。

しかし、この長大で複雑な神秘の営みの過程は、大小さまざまな要因によって必ずしも定型の成長を遂げられずに出産を迎えることもあります。こうした胎児の先天性異常に発達障害の一因を認める見解も、確かに今日存在します。

けれども、発達障害とは社会的な適応能力、対人関係や集団におけるコミュニケーション能力に深くかかわる障害の総称です。具体的には自閉症や注意欠陥多動性障害、あるいはアスペルガー症候群などの症例で広く知られる障害です。

ただ近年、知的な障害とは認められないいわゆる高機能広汎性障害の存在も知られているようにその類型は知的なものから精神的なものまで広範囲で、一概に原因を特定するにはいたっていないのが現状です。したがって、胎児に認められる臓器的な先天性異常と、生後低年齢期にみとめられる社会適応の障害とは区別して考えた方がよいでしょう。

発達障害は臓器・肉体上の障害ではないため、赤ちゃんとして生まれ、成長していく過程で外見からはなかなか判断できないものです。乳幼児の時期にお母さんの言葉が伝わりにくいとか、衝動的な行動が目に余ったりといった特徴がよく指摘されてはいますが、そのような赤ちゃんの行動からご両親が障害を疑うことはなかなか難しいのです。

一般には、子どもの障害を疑い、専門医の診断を受けてはじめて認識をもつのが就学時期前後という場合が多いようです。親の精神的、肉体的な負担は確かに小さくありません。特に低年齢期は外出時のふるまいが大小さまざまな問題を引き起こすため、お母さんの日常生活を大きく制限してしまい、疲労を蓄積させてしまうからです。

しかしながら、発達障害に対する社会的な認知は数十年前を比べて徐々にではありますが、広まってきていることも確かです。家族の会などのコミュニティを通じて情報交換に努めるのもよいでしょう。