飲酒が胎児に与える影響

最近、お酒を飲む習慣を持っている女性が増加しています。特に、若い女性の飲酒人口が増えています。妊娠中の母親がお酒を飲んだ場合、アルコールやその代謝産物が、胎盤を通過して胎児の血中に移行します。そして、胎児に発育遅滞や器官形成不全などが生じることがあるのです。

その結果、自然流産ということもあり得ますし、無事出生した場合も、成長遅滞、中枢神経系の障害、顔面の形成不全など、胎児性アルコール症候群と言われる症状が出る場合があります。

子供への影響は、学童期以降も、学習、衝動コントロール、対人関係の障害という形で出てくることがありますので、注意が必要です。

胎児性アルコール症候群の発生頻度は、わが国での1991年の全国調査では、出生1,000人に対して0.1人以下の割合とされました。しかし、若い女性の飲酒量増加に伴い、今後FASが増加する可能性は、残念ながら高くなるかもしれません。

お酒をどのくらい飲むか、という形態を見てみると、胎児性アルコール症候群の診断基準を満たす母親は、多くの場合、妊娠中に継続して大量にアルコールを摂取しています。

欧米で胎児性アルコール症候群の危険はないとされている飲酒量は、「1日1ドリンク」(1ドリンクがビール250mlほど)と言われていますが、日本では、これを体格の小さい日本人に適応するのはどうか、という慎重な意見もあります。

少量のアルコールで子供が病気になる可能性は低いといっても、妊娠中の女性は、自分と子供のために禁酒した方がいいでしょう。妊娠早期に禁酒した場合、妊娠中後期に飲酒したときに起こる脳中枢神経障害の予防が可能となります。

妊娠と気付く前の飲酒も、胎児の発育にまったく影響しないとは言えず、それが大量飲酒となれば、胎児が悪影響を受けて病気になったり、流産の危険があるのです。妊娠中の飲酒は百害あって一利なしと考えて、妊娠がわかったら禁酒することが大事です。お酒を飲まなければ、子供がアルコールの悪影響を受けることはないのですから。